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活動実績|平岡せいき|愛媛県伊予市

使途項目:営業する市役所 熱海市役所視察

活動目的:民間投資を促進し、観光客300万人を突破した経緯を視察

出 張 先:静岡県熱海市

出張期間:2019年1月28~29日

 
 概 要

平成18年、斉藤市長が就任してすぐに「財政危機宣言」を発令したところから熱海の成長が始まった。今までの発注行政の脱却を掲げ、翌19年から徹底した行財政改革の断行を行い、大胆なコストカットを実行したとの説明があった。やはり成長している行政は、時代が変わっているにも拘らず危機感を隠し、慢性的な行政経営が引き起こす財政問題に対して、政治家である市長が大胆に逆境に立ち向かう姿勢を見せる事から始まる事が多い。
人口37000人、高齢化率は静岡県1位の46.3%と言う超高齢化している街でした。でも熱海駅を降りて街を歩くと物凄い人の数!月曜日の昼間に関わらず伊予市の夜市のようで、年間300万人を越えて来市している現実を見せられた。
お土産物売り場では威勢のいい掛け声が響き、昼ごはんに入った蕎麦屋は一気に満席になった。

市役所の話に戻すと、市長は1期目に市役所職員の削減などをはじめとする歳出削減行財政改革を行った。批判もあったらしいが、元々街の評価が悪かった為それほどでもなかった。二期目に経済産業省から官僚を副市長として招へいし、営業する市役所が始まる。ここでも感じた事は、成長しているどの市町においても官僚や県職員などを呼んでいる。それぐらい国や県との連携強化や新しい発想を取り入れると同時に、しがらみの無い人でないと改革は出来ないのは間違いない。結果、担当職員も新しい発想になって良かったと発言があった。

23年11月に営業する市役所のプロジェクトチームを設置。民間投資を促進させる為に誘致活動がスタートした。市の遊休地や建物に民間利活用の情報を一元化し関心を持つ企業を探し、開発の可能性や候補案件等、様々な情報を集約したとの事。
そして市の玄関口にあった市の遊休地に「ゲートウェイローソン」がオープン。
続いて市誘致有効活用計画を公表し、本格的に取り組む新たな部署を設置した。
プロジェクトチームであったり、こう言った専門部署の設置で求められるものは名前先行では無い事が大事だ。職員のやる気と情熱であると断言できよう。目標ややり甲斐を求めて愚直に取り組み達成する事に執着する。達成すれば市の活性化、市民生活に好影響が出て、働く意欲とやる気が生まれる。またその働きを報酬に還元する。

市長は熱海市活性化の為に民間企業である静岡銀行や信用金庫、「ぐるなび」とパートナーシップ協定を締結し、「お金を借りる前に知恵を借りる」と言った協定を結んだ。銀行とは一緒に都会でイベントを開催したり、「ぐるなび」とは知恵を出し合い、ブライダルデー特別企画を制作したり、若い女性をターゲットとした観光プロモーションで率先した観光アピールを行った。その絶え間ない努力が一時は寂れた街、熱海のV字復活に起因していると言える。
熱海は温泉地で東京から1時間程度の好立地のため大手企業の保養所が数多くあり、バブル崩壊後から稼働せず、寝かしたままの建物が数多くあった。その保養所を売却希望企業を取りまとめて、ホテルなどに発信もして結果を出したようです。

当然観光だけでなく経済の活性化を目指し、富士市の「F-biz」を勉強に行き、熱海市の「A-biz」を市職員と商工会議所連携でスタート。このA-bizは富士市と連携し、個人にお金を貸すのではなく知恵を出し、挑戦する事業者を応援する、そして結果を出す事に拘った個人民間企業の支援事業です。
このA-bizでは様々な事例があるが、今までが当たり前で気が付いていない産業に新しい発想で提案をしたり、その提案を具現化する為に市からネットワークを生かした発信や起業支援を行っていると言う。
また民間誘致に力を入れる為、商工会議所や市役所では硬いイメージがある為に、シェアオフィスにA-bizコーナーを設置して対応もしている。

お金を出さずに知恵を出す取り組みは徹底されており、市の補助金イベントはゼロ。私も思うが、イベントに補助を出してもそれは一過性のものであり継続した売り上げにはつながらない。結果的に補助金頼みの事業になってしまい、知恵を出そうとはしなくなる。その結果、毎年同じ様なイベントを繰り返し、イベント自体の魅力が無くなる。熱海市の場合はイベントよりも観光客向けへの接客や販売を優先しており、それが住民や働き手の希望となっているとの事でした。

営業する市役所のプロジェクトチームは平成23年設立をし、26年まであったが現在解散しており、27年からは産業振興室になっている。テレビや映画の度の誘致も率先しており、なかでも情報番組やバラエティー番組などを率先して誘致している。それは即効性があり、観光客の数に対してすぐに効果が出るとの事。番組のスタッフなどにお弁当を出したり、撮影のあらましを聞いて手助けをしている。
番組に来てもらう為の活動も行っていた。市の産品として観光客が買って帰る、お土産があるが、このお土産に関しても有名なソムリエを選んで招きブランド認定を手助けしてもらっている。有名なソムリエの推すお土産は人気が高く、個人店でも様々な商品が開発されている。その商品をブランド認定してもらい為に。
私はここでも、伊予市のブランド認定と比べてしまった。ある物だけを認定しても市場の活性化にはならない。その商品をいかに売るか。どうやったら売れるか。売れたらだれが喜び、誰が潤うのか。その先まで考えてない今の伊予市のブランド認定はお金を掛けないが故に失敗に終わっていると言えよう。市民や小さなお店であってもブランド認定して欲しいと思い商品を開発してもらう。その商品に価値を付け、販売ルートを構築して行く。量産体制が可能な商品か、量産が出来ないならどうやって量産するプロセスを組むのか。認定して終わりでは必ず魅力が無くなり終わるだろう。

29年からA-bizに東京ディズニーリゾートで人気企画を担当した「山崎浩平氏」を招きチーフアドバイザーに着任。そうすると相談件数が年間300件くらいだったのが1000件を超える様になったと言う。
元々、熱海市ではA-bizで市内だけでなく、市外からも支援相談を行って来たそうで、現在ではこれ以上に増えると、対応が出来なくなるので増やさない様にしているとの事でした。利用者の年齢層は圧倒的に若い年齢層で目標の倍になっているとの事です。

 総括

熱海は温泉と言う天然の産物があり、東京から1時間という好立地であるにも拘らずバブル崩壊後は財政破綻の危機にあった。ただし、そこから脱却する為には相応の覚悟が必要だし、批判も受け止めて強固な改革をしてきた結果だと思う。
市の自主財源は伊予市が30%程度なの対し、熱海市は65%。国に頼らず、依存財源体質出ない事が明らかに分かる。ただ自主財源の49.2%は固定資産税で、熱海の温泉の地の利を生かした財政状況だと言う事も忘れてはいけない。営業する市役所のプジェクトチームは解体されていたが、その遺志を継ぐ市役所職員が大勢いる事はこれからも発展して行くであろうと思う。
この先、10年間で更にホテル建設が予定されており更に建設ラッシュになる熱海。その部屋数は1000室を越えると言う。近年の4年間は毎年300万人を超える観光客を誘致し、お土産物売り場では景気のいい声が聞こえ、朝から多くの商品が買われていた。
市長の決断、各語、実行が市職員の刺激にもなり、「やればできる!」をまさに表したような市政運営でした。我が市も新しい事に目を向け実行する事を望みます。
熱海で心配な事は高齢化である。46.3%はある意味、若者に魅力が無い街と捉えられても仕方ない。「東京に近いから」という言葉もあって戻って来ないと言う言葉を聞いた。その言葉に私は中山インターの事を思い出した。街の活性化に挑戦し、安心に住める街を作る為にも国や県との連携が大事。魅力がある企業を足で稼いで誘致し、働く場所を作り、若者が進んで住む街を創造する事が求められている。

 その他

次の日、29日は早朝のホテルを出て、東京新橋の「香川・愛媛アンテナショップ せとうち旬菜館」にアポイントを取っており視察とお話を聞き取りに行って来ました。
お話を伺ったのは「えひめ観光物産プラザ 業務課長の石丸様」です。
目的は東京での伊予市産の商品がどうなのか。伊予市の事業者様を東京のアンテナショップに出品する事が可能かどうか。どれだけの売り上げがあるのか。苦労は。などです。以下は聞き取りを行った際に箇条書きにしたものです。


せとうち旬菜館 石丸様談


出品するには、愛媛県観光物産から通して来れば出せれる。
石丸さんに直接メールでもいい。
売って利益を出そうとする気持ちが大事。
ここをスタートとして他の販売ルート構築を目的としてやる企業

送る際は送料を元払い、返品は着払い

大手のバイヤー達がアンテナショップを回っている。買って帰り、直接連絡をしている。
パッケージを変えて作ってくれとの連絡がある事も。成城石井、イオンリテールなど。

売り掛け率がよく出せれる。
ただし、より安く作れる企業でなければならない。

無添加がウケる!
置くのには無料。売れると追加発注が来る。

単身世帯が増えているので個食は売れる。

ドレッシングやマーマレードは競争率が高い

去年5億2000万の売り上げ
76の自治体アンテナショップの中で8位

出身者が三割くらい
その他は東京のひと

野菜もある。
夕方以降、銀座、新橋辺りの料理人が買いに来る。
少量で手に入るから。

パンフレットなども土日でかなり出てる。実際に行く前に情報などを欲しがっている。

広告などは新聞もあるが、ほとんどはパブリックでテレビ局に愛媛の広報の事業で、民間委託、ブロガーなどにアピール。
全国枠に出ると一気に沸く!ケンミンショーに出たら行列ができる。

もち麦が出たら爆発的に売れている。テレビの影響は大きい!検索して問い合わせの電話がある。見て買いたい人は多い!
テレビの取材は選ばれる事が多く取材に良く来る。

午後からは今回の視察の後半で大事な視察です。

霞ヶ関に行き、総務省自治財政局財務調査課課長で、元愛媛県副知事 長谷川淳二氏にお会いし話を聞いて来ました。

テーマを「地方財政の課題と展望」
地方財政と補助の役割、31年度以降の新経済・財政再生計画、幼児教育無償化、防災減災・国土強靭化三カ年緊急対策、平成31年度地方財政対策概要などを主体として具体的な話です。

かなりの収穫で、地元で不安を抱えて生活している方々への解消となる予算もありました。早速動こうと思います。

長谷川様、貴重な時間を本当に有り難う御座いました。
これからも宜しくお願い致します。